感染症学雑誌
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レピトスピラ病の化学療法
とくにTobramycin, DibekacinおよびAmikacinのレプトスピラに対する作用
小林 譲小山 孝二宮 紀郎
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1984 年 58 巻 3 号 p. 197-202

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抄録

レプトスピラ病の化学療法に関する研究の一環として, レプトスピラに対するtobramycin, dibekacin, amikacinの作用について検討した。レプトスピラはLeptospira interrogans serovar copenhageni白水株を用いた. その結果, 白水株に対するそれぞれの発育阻止濃度は, tobramycin 0.64-1.28μg/ml, dibekacinとamikacinはともに1.28-5.12μg/mlであった.
これらの薬剤については, さらに, 作用機i序を明らかにするため, tobramycinは5μg/mlと100μg/ml, dibekacinとamikacinは10μg/mlと100μg/mlの各濃度で, 培養後, 経過を追って, 発育各期のレプトスピラに薬剤を添加して, その後のレプトスピラの数および形態の消長を観察した. その結果, tobramycinは低濃度・高濃度ともに増殖期のみならず定常期にもかなりの程度に効果がみられた. また, amikacinは低濃度ではレプトスピラの増殖期には著しい効果が認められたが, 定常期には作用の低下が認められたのに対して, 高濃度では増殖期のみならず定常期にも著しい効果が認められた. 他方, dibekacinは低濃度・高濃度ともに増殖期には顕著な効果が認められたが, 定常期にはその作用が著しく低下した.

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