感染症学雑誌
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Sultamicillin連続投与時の体内動態及び腸内細菌叢に及ぼす影響
岡田 敬司河村 信夫池田 正勝上野 一恵横田 健西浦 常雄
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1985 年 59 巻 7 号 p. 749-765

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抄録

Sultamicillinは米国ファイザー社で開発された経口半合成β-lactam剤でampicillin (ABPC) とβ-lactamase阻害剤sulbactam (SBT) を一分子ずつエステル結合し, トシル塩としたものでFig. 1に示す構造式を有する.
本剤は構造上ABPCとSBTのそれぞれのProdrugと言う意味で“mutualprodrug”と呼ばれる新しい型の薬剤である.
Sultamicillinは経口投与されると腸管より吸収され, 腸管壁のエステラーゼで加水分解を受け当量のABPCとSBTに解離するが, それぞれを単独で投与した時よりいずれも高い血中および尿中濃度が得られるばかりでなく, 遊離したSBTがβ-lactamase阻害剤として作用するので, β-lactamase産生によるABPC耐性菌にもABPCの抗菌力が及ぶことが期待される.
本剤の前臨床試験成績および1回投与の臨床第一相試験成績から本剤の安全性が推測されたので, 今回われわれは連続投与による臨床試験を行ない, 連続投与時の安全性, 薬物体内動態, 腸内細菌叢へ及ぼす影響などについて検討した. 一部の志願者には6ヵ月間の間隔を置いてABPCを同様に経口投与し比較検討したのでその成績を加えて報告する.

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