感染症学雑誌
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マイコプラズマ抗体とオウム病抗体の同時上昇を示した肺炎の1例
岸本 明比古大原 弘隆河辺 昌信藤岡 俊久三好 義光遠山 一太林 嘉光加藤 政仁武内 俊彦
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1986 年 60 巻 10 号 p. 1154-1159

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抄録

マイコプラズマ抗体とオウム病抗体の同時上昇を示した肺炎の1例を経験した.症例は17歳の男性で, 発熱, 咳嗽, 喀痰, 咽頭痛, 頭痛を訴え来院.胸部レ線で舌区にほぼ均等な陰影を認めた.MINO投与により自覚症状は改善し, 陰影は約4週間で完全に消失した.経過中に肝機能障害, 脾腫, 皮疹 (滲出性紅斑), 好酸球増加がみられた.皮疹は約1週間で消失したが, 肝機能障害, 脾腫, 好酸球増加は約4週間持続した.マイコプラズマCF価は8倍から1024倍に, オウム病CF価は16倍から128倍に, 寒冷凝集反応は16倍から256倍にそれぞれ上昇し, M.pneumoniaeC.psittaciの重複感染と診断した.肝機能障害, 皮疹はその出現時期やリンパ球刺激試験の結果から薬剤性を否定し, 感染症に伴うものと考えた.両者の抗体価が同時上昇する肺炎例は, 本邦では小児の報告例が多い.

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