感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
日本脳炎ウイルス鶏胚線維芽細胞継代株の抗原性について
丸山 典彦松井 清治
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 60 巻 3 号 p. 251-256

詳細
抄録

初代鶏胚線維芽細胞 (CE) に継代した日本脳炎ウイルス (JEV), 中山予研 (中山), JaGAr 01 (JaGAr), 三重44-1 (三重), 北京-1 (北京), 4株の増殖性およびこれら4株からの試作ワクチンの免疫原性について検討した結果, 次のような成績を得た.
1) CE継代8代以降, 中山, JaGAr, 北京の3株は108.5~109.0TCID50/mlの高いウイルス感染価を認めた.
2) 中山株, および三重株のCE継代株はTween 80, 1%処理によってHA活性の失活が認められ, JaGAr株, 北京株とは異った性状を示した.
3) 試作ワクチンで免疫したマウス抗血清を用いて各株間の赤血球凝集抑制 (HI), 中和 (NT) 試験を行った結果, 中山抗血清はHI, NTともにJaGAr株, 北京株に対して低い反応性を示したが, 三重株に対しては前2株に優る反応性を示した.
4) 北京株, JaGAr株の両抗血清は互いに高い反応性を示し, 免疫学的に同タイプに属しているものと思われる.
5) CEに継代された中山株, 北京株試作ワクチンは, それぞれHomologous株に対して現行ワクチンに匹適する力価を認めた.

著者関連情報
© 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top