感染症学雑誌
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Neisseria mucosaによるバルトリン腺膿瘍の1例
山崎 堅一郎
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1986 年 60 巻 8 号 p. 917-919

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抄録
通常口腔咽頭の常在菌であり, 非病原性ナイセリア属のNeisseria mucosaを成人女性のノミルトリン腺膿瘍から純培養的に分離した. その菌数は, 1.8×107/mlであった. 膿蕩穿刺液の直接塗抹のグラム染色では, グラム陰性双球菌を多数貧食した多核白血球が観察され, Neisseria gonorrhoeae感染症を疑わせる塗抹所見であった. 治療にはDibekacinとCefaclorが投与されたが, そのMICsはDKB 1.56, CCL3.13 (μg/ml) であった. 本症例は, 基礎疾患を有しない成人女性へのN. mucosa単独による感染症という, 非常に “稀” な興味深い1例であり, バルトリン腺膿瘍の起因菌としては初の報告例ではないかと思われる.
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© 日本感染症学会
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