臨床神経学
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短報
慢性腎不全を基礎に進行性多巣性白質脳症を発症しメフロキン,ミルタザピン併用療法を行い髄液JCウイルス陰性化を認めた1例
大貫 英一朝山 真哉朝山 知子中道 一生西條 政幸小坂 理
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2016 年 56 巻 10 号 p. 705-708

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抄録

症例は83歳男性,慢性腎不全のため血液透析中であった.亜急性に進行する右片麻痺のため紹介入院した.頭部MRIではT2強調画像で両側中小脳脚と左前頭葉深部白質に高信号病変を認めた.病変は経時的に拡大し,1H-MRSではChoの上昇とNAAの低下を認め,脳生検ではglioblastomaが疑われた.しかし髄液JCウイルス(JCV)検査が陽性と判明し,脳生検組織を再検したところ,免疫染色でJCVに感染した異型アストロサイトを認め,進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy; PML)と診断した.メフロキン,ミルタザピンによる治療を開始したところ,髄液JCVの陰性化を認め,またMRIでの病変の拡大も停止した.基礎疾患,臨床経過において稀少と考え報告した.

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© 2016 日本神経学会
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