感染症学雑誌
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Avidin-Biotin系を用いたEnzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) による血中カンジダ抗原の検出法第2報
鈴木 宏中村 明宮治 誠
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1987 年 61 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

第1報において, 血中カンジダ抗原検出法としてのavidin-biotin系を用いたenzyme-linked immunosorbeit assayについての基礎的検討を報告したが, 本論文では, 同一個体で経時的に抗原濃度を測定する目的で実施した家兎のCandida albicans感染実験の結果と抗原陽性を示した臨床例5例につき報告する.
家兎を用いた実験では, 致死例において感染初期より死亡するまで高い抗原濃度を示した.非致死例では持続的には抗原が検出されなかつたが, 1羽を除き感染初期に陽性を示した.
臨床例で抗原陽性を示した5例の内訳は, 新生児2例, 急性リンパ性白血病2例, 骨髄線維症の疑い1例であり, いずれもcompromised hostであった.Candidaの血液培養陽性例は3例で, そのうち1例では, 血液培養陽性となる前に抗原が検出され, もう1例では, 抗真菌剤投与により血液培養が陰性化してからも抗原が陽性を示した.血液培養陰性の2例では, 抗真菌剤投与前後の臨床症状及び検査成績とカンジダ抗原の消長がよく一致していた.
以上より, 臨床症状より深在性真菌症が強く疑がわれる症例において, 検体採取時期に注意し, 抗原検索をすることにより, 本法は深在性カンジダ症の早期診断法としてきわめて有用な方法であると考えられた.

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