感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
Vibrio parahaemolyticusおよびVibrio alginolyticusの各種薬剤におけるMIC分布
金子 通治岩下 まさ子
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 61 巻 1 号 p. 9-16

詳細
抄録

1971~1985年に山梨県で分離したヒト由来207株, 食品由来130株の計337株のVibrio parahaemolyticusと貝類由来Vibrio algiolyticus 22株の薬剤感受性試験を行なった.
V.parahemolyticusが自然耐性と思われるPBを除いた10薬剤のうち, いずれかの薬剤に耐性であったのは44株あり, 13.1%であった.薬剤ごとにみると, KM耐性が23株, 6.8%, ABPC耐性14株, 4.2%, CBPC耐性11株, 3.3%, SA耐性7株, 2.1%およびCET耐性1株, 0.3%であった.44株のうち3剤耐性が2株, 2剤耐性が8株のほかはすべて1剤耐性株であり, KM1剤耐性株が21株, 61.8%ととくに多かった.
V.alginolyticusはABPC, CBPCに対する耐性株が多く, ABPCに86.4%, CBPCに95.5%の耐性率で非常に高率であった.しかし, V.parahaemolyticusにみられたKM耐性株は1株もなく, ペニシリン系薬剤とアミノグリコシド系薬剤に対する薬剤感受性に両菌種で大きな相違がみられた.
V.parahaemolyticus, V.alginolyticusの両菌種ともにDOXY, CP, EM, NAおよびLMOXに対しては, すべての菌株が3.1μg/ml以下の感受性を示し, 臨床上, 治療薬として有効であることがうかがえた.

著者関連情報
© 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top