1987 年 61 巻 9 号 p. 1064-1069
1980年に発足した原生省「輸入熱帯病の薬物治療法に関する研究」班では抗マラリア薬を含む15種の未承認薬の臨床試験を実施してきた. これまでに, 研究班から供与された燐酸クロロキン (resochin, Bayer社ならびにaralen, Winthlop社) を用いて104例の治験がなされた. このうち42例を今回の対象として臨床成績を検討した. その結果, 投与後暫時に原虫消失を認め, 全例で治癒がみられた. また, 投与後の副作用については肝機能検査値異常, 差明, 発疹が各1例報告された. しかし, これらはいずれも軽度かつ一過性で, しかも本剤投与に関連するものとは断定できなかった.