1984年3月28日から7月12日の間に某病院のICU及び関連病棟の入院患者14名より同一の多剤耐性型を示す
Enterobacter cloacaeが連続して分離された. 14症例中12症例は, ドレナージあるいはカテーテルが留置されていた. これら14症例由来の
E. cloacae14株について当施設保存の臨床分離株30株を対照とし, これまで疫学的マーカーとして用いられている生物型, Bacteriocin型, Antibiogram, plasmidprofile, 菌体可溶性蛋白のPAGE profileなどを詳細に検討した.
その結果, 14菌株は, IDテストEB-20 (日水) とAPI50CHE (API) を用いる生物型及びTraubらの方法によるBacteriocin型では全く同一であった. しかし15薬剤 [ampicillin (ABPC), sulbenicillin (SBPC), ticarcillin (TIPC), cefazolin (CEZ), cefmetazole (CMZ), cefmenoxime (CMX), cefotiam (CTM), ceftizoxime (CZX), latamoxef (LMOX), tetracycline (TC), minocycline (MINO), rifampicin (RFP), nalidixicacid (NA), sulfamethoxazole-trimethoprim (ST), gentamicin (GM)] を用いて寒天平板希釈法によるMIC値から求めたAntibiogram, TritonX-100を用いたminilysis法により調整し, 0.8%agarose上で分析したplasmid prome, W. E. C., Mooreらの方法により分析したPAGE profileでは, 菌株間に若干の相違点が認められた.
用いられた全てのマーカーを組み合わせて分類したところ4型に分類でき, 院内感染が示唆された.
さらに簡易同定キットを用いた生物型, Bacteriocin型, Antibiogram, plasmid profileの検査により, 院内感染を解析できることが示唆された.
抄録全体を表示