感染症学雑誌
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溶血活性と抗原活性からみたVibrio choleraeのHemolysin産生について
新垣 民樹一瀬 休生山本 耕一郎岩永 正明
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1988 年 62 巻 9 号 p. 792-797

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抄録

エルトール型コレラ菌及びNAGビブリオが産生する溶血素の検出と定量に対し, 生物活性 (溶血) と抗原活性 (凝集) による方法を併用してみたところ, エルトール型コレラ菌で溶血活性を示したものは56株中33株であったが, 55株から溶血素の抗原活性を検出することができた. NAGビブリオで溶血活性を示したものは55株中52株であり, 抗原活性を示した株は54株であった. エルトール型コレラ菌では溶血素の抗原活性が高いにもかかわらず溶血活性を示さない株が多数見られた. NAGビブリオでは溶血活性と抗原活性の強さはおおよそ一致していた. 静置培養と振愚培養を比較すると, エルトール型コレラ菌では静置培養において圧倒的に溶血素産生が高く, NAGビブリオでは株によって全く異なっていた. 溶血素の生物活性が不安定なことを考えると抗原活性による溶血素の検出, 定量 (逆受身ラテックス凝集法) は有用な方法であると思われる.

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