感染症学雑誌
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牛における日本脳炎ウイルス感染の動向
埼玉及び鹿児島県における抗体保有状況
堀本 政夫酒井 健夫後藤 仁
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1989 年 63 巻 1 号 p. 10-14

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抄録

1982年から1984年までの3年間に, 埼玉県及び鹿児島県の牛それぞれ1306頭, 536頭から採取した血清について日本脳炎ウイルスに対する抗体保有状況を調査した.3年間の抗体保有率は鹿児島県では68.8%であり, 埼玉県の65.5%に比較して有意な差は認められなかった.月別抗体分布をみると, 埼玉県では抗体保有率及び抗体価ともに夏期に上昇し, その後, 下降する夏山型の変動が認められたが, 鹿児島県では夏期に上昇した抗体保有率及び抗体価が12月にも持続する持続型の変動であった.年齢別抗体保有率をみると, 埼玉県では64.0%から82.8%の範囲で推移し, 加齢に伴う変動は認められなかったが, 鹿児島県では1歳29.4%, 2歳50.0%, 3歳47.4%及び4歳74.5%と, 加齢に伴う上昇が認められた.しかし, 年齢別の平均抗体価は, 埼玉県では15.3から22.5, 鹿児島県でも20.0から38.3の範囲でそれぞれ推移し, 両県とも加齢による変動は認められなかった.

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