感染症学雑誌
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培養McCoy細胞におけるChlamydia trachomatisの走査電子顕微鏡的研究
Surface projectionおよび封入体内ネットワークを中心として
倉林 良幸
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1989 年 63 巻 1 号 p. 61-70

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抄録

McCoy細胞における生殖器由来C.tmchomatis増殖環の走査電子顕微鏡的研究において以下の結果を得た.
1) 二種類のsurface projection (spikelike projection, hemispheric projection) を観察した.
spikelike projectionは接種後50時間で大型 (直径1.0μm以上) のC.trachomatisにおいて観察され, C.trachomtis表面からの高さが21~52nmで, 直径が25~35nmであった.
hemispheric projectionは接種後72時間において小型 (直径0.3μm以下) のC.trachomatisに観察され, 突起の直径は平均34.0nmで中心間の距離が40~45nmでhexagonallyに配置していた.
2) intrainclusion networkを観察した.これは, 接種後72時間の封入体内に観察され, C.trachomatis間を結ぶ線状の構造物が三次元的にネットワークを構成する構造であった.ネットワークは小顆粒状物が線状に集籏したものからなり, 個々の顆粒の直径の平均は53.9nmであった.α-amylase処理により顆粒状物は消失し, ネットワークの芯となると考えられる幅33.5nmの線状物が出現した.以上のことより, ネットワークは幅33.5nmの芯の周囲にグリコーゲン顆粒が付着した構造をしていると考えられた.ネットワーク構造には, 1.long type, 2. short type, 3. inclusion typeの三種類が存在した.

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