感染症学雑誌
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母児垂直感染による小児HIV感染症の臨床学的免疫学的予後因子の検討
福永 謙和田 紀之Stéphane BLANCHEClaude GRISCELLI
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1989 年 63 巻 12 号 p. 1322-1328

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抄録

1983年4月から1988年9月までの5年半の間にパリ, ネッケル小児病院を受診, 経過観察されている母児垂直感染による小児HIV感染症94例をretrospectiveに検討した. 初診時平均年齢は10ヵ月であった. 2例のみ無症状で経過 (28ヵ月, 26ヵ月) し, 全体の98%にリンパ節腫脹/肝脾腫を平均生後6ヵ月時に認めた. この観察期間内に28%が日和見感染症, 16%が重症神経症状, 15%がLIPを呈した. 初回検査所見で24%の症例でOKT4細胞500/mm3以下, 44%の症例で抗原刺激 (Candida) によるリンパ球幼若化反応が陰性であった. ウイルスのコア蛋白成分に対する抗HIVIgG抗体 (P25, P18) の陰転化 (移行抗体を除く) がOKT4細胞数の低下, 幼若化反応の低下と関係があり, これらの症例で有意に日和見感染症, 重症神経症状を呈する例が多かった. また, 現時点での生存率はこれらの症状を呈さない例に比し著明に低値を示していた (図2).

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