感染症学雑誌
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外来の塵肺症患者における喀痰中Branhamella catarrhalisの意義
井手 政利隆杉 正和吉田 俊二郎森 健一郎持永 俊一吉田 俊昭松本 慶蔵
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1989 年 63 巻 4 号 p. 363-368

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抄録

1984年4月から1988年3月までの4年間に長崎労災病院内科外来を受診した塵肺症患者109名を対象として, 気道感染急性増悪におけるB. catarrhalisの占める地位につき検討をおこなった.
本菌は109名中26名に計73株分離され, このうち3名がステロイド剤の継続投与を受けていた. 本菌の分離頻度は年々増加傾向にあったが, 1987年度に初めて前年度より若干の減少を示した. 季節的には冬季に多く夏季に少ない傾向にあり, H. influenzaeと対照的であった. β-ラクタマーゼ産生性については1984年度からすでに大半が陽性株であり, その割合に大きな変動はなかった. 複数菌感染における同時分離菌はH. influenzaeS. pneumoniaeがほとんどであった.
塵肺症の気道感染においてもB. catarrhalisH. influenzaeS. pneumoniaeに次ぐ分離頻度を示し, またそのほとんどがβ-ラクタマーゼ産生菌である点, primary pathogenとしての認識と適切な化学療法が必要である.

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