1990 年 64 巻 7 号 p. 781-786
乳酸菌菌体成分の抗腫瘍性をin vitroにおける細胞増殖抑制作用より検討した.
乳酸菌菌体成分は白血病細胞株 (MT-2細胞, MT-4細胞, Molt-4細胞) 組織球性リンパ腫細胞株 (U-937細胞) の増殖を直接抑制し, この作用は同時に行った抗癌剤ビンプラスチンの殺細胞作用とは明かに異なるものであった. BrdU-抗BrdU抗体法を用いた細胞周期動態解析では乳酸菌菌体成分の投与によりG1+G0期 (DNA合成準備期) の細胞の蓄積がみられ, 乳酸菌菌体成分は低濃度の蛋白合成阻害剤として働いていると考えられた. また, 乳酸菌菌体成分にペニシリン処理を加えても細胞増殖抑制作用の増強はみられなかった.