感染症学雑誌
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エコーウイルス18型による無菌性髄膜炎の流行について
三輪 智恵子渡辺 豊
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1990 年 64 巻 7 号 p. 815-821

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抄録

1988年, 岐阜県の無菌性髄膜炎 (AM) 患者137症例と, 急性熱性疾患及び発疹症等36症例について, ウイルス学的・血清学的に検討した結果, 以下のことが判明した.
1. AM患者の年齢は, 0歳から15歳に分布していたが, 8歳以下が90.5%を占めていた.
2. AM患者137症例の58症例 (42.3%) より, 7種類のエンテロウイルスと同定困難株が分離されたが, 46症例 (79.3%) はエコーウイルス18型 (Echo-18) であった.
3. Echo-18は, AM患者以外の急性熱性疾患・発疹症など36例のうち16症例 (44.4%) からも分離された.
4. 1988年Echo-18分離株の抗原性は, 標準株と抗原的に軽度の変異が確認された.
5. Echo-18に対する住民抗体保有率は, 流行後には8歳以下の年齢層で著明に上昇したことが確認できた.

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