感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
Non-O1 Vibrio choleraeの腸管起病メカニズムに関する研究
II. 腸管起病株のマウス致死能, 付着性, 定着性および培養細胞変性能
刑部 陽宅児玉 博英佐藤 茂秋
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 65 巻 6 号 p. 665-671

詳細
抄録

Non-O1 V. cholemeのマウス致死能, 腸管への付着能と定着能, 血球凝集能, 培養細胞変性能, 細胞侵入能を腸管起病菌と非起病菌について比較した. 結果は以下のようであった. 1) マウス致死能 (MLD値) は腸管非起病菌より起病菌で高かった. 2) 腸管起病菌は非起病菌に比し, かならずしも強い血球凝集能と腸管への付着能を示さなかった. しかし, 腸管起病菌は非起病菌に比し, 多量菌接種という条件下で腸管へ良く定着する傾向であった. 3) 細胞侵入性は腸管起病菌にも非起病菌にも認められなかった. 4) 培養細胞変性作用は多くの腸管起病菌に認められ, 多くの非起病菌に認められなかった. 以上の結果は腸管起病菌と非起病菌は腸管への付着性, 定着性で明確に区別出来ないこと, 本菌の腸管起病性とマウス致死能あるいは細胞変性作用との間に相関のあることを示唆する.

著者関連情報
© 日本感染症学会
次の記事
feedback
Top