著者らはmebendazoleの錠剤を粉末にして糞線虫症の治療を試みてきたが, 高頻度に中毒性肝障害が出現したため, 今回は粉末で投与する方法と錠剤のままで投与する方法とについて検討した.
1. Group1: Mebendazole (100mg) の錠剤を粉末にし, 1日2回4日間連続経口投与後, 3日間休薬した後に2コース目を行い, さらに10日間の休薬後に2コース続ける方法を45例に対して行った.
1) 2コース終了10日後の駆虫率は97.8%(44/45), 4コース終了3日後は100.0%であった.
2) 副作用として, 便秘, めまいなどが出現したが, その程度は軽度であった.
3) 肝障害は2コース終了10日後に11.1%, 4コース終了3日後に60.0%出現した.
2. Group2: Group1と同様の投与期間とし, 錠剤を粉末にせず錠剤のまま45例に投与した.
1) 2コース終了10日後の駆虫率は93.0%(40/43), 4コース終了3日後は97.7%(42/43) であった.
2) 副作用は掻痒感などが認められたが, その程度は軽度であった.
3) 肝障害は2コース終了10日後に13.3%, 4コース終了3日後に68.9%出現した.
3. 粉末投与群と錠剤投与群との駆虫率, 副作用出現率および肝障害出現頻度には有意差は認められなかった.
以上のように, 2コース投与終了後と4コース投与終了後の駆虫率はグループ間に有意差はなく, 肝障害の出現頻度は両群とも2コース終了後は4コース終了後に比べて有意に低かった. 従って, 両群における長期 (6ヵ月) の駆虫率を検討した上で, 4日間2コースなどの短縮した方法をさらに検討する必要があると思われる.
抄録全体を表示