1991 年 65 巻 6 号 p. 687-691
1989年1月より1990年2月までの間に横浜市立港湾病院外来をおとずれた散発性下痢症患者の糞便330検体について, SSおよびDHL寒天培地を用いる方法とβ-glucuronidase活性が測定できるFluor ocult agar平板を用いる方法との間で下痢原性大腸菌の検出率の違いを調べた. 血清型および毒素産生によって決定した下痢原性大腸菌は合計で52検体より検出された. しかし, Fluorocult agar平板上でfluorescentな集落を検索した場合は35検体より, non-fluorescentは集落を検索した場合は3検体より, また, S6およびDHL寒天培地の併用方法によっては26検体より下痢原性大腸菌がそれぞれ検出されたが, Fluorocult agar平板 (fluorescent) とSS・DHL寒天培地併用方法で共通して同一血清型の下痢原性大腸菌が検出されたのはわずかに10検体からにすぎなかった. したがって, 下痢原性大腸菌の検出率を高めるためにはFluorocult agar平板の併用が奨められる.