感染症学雑誌
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急性単純性膀胱炎に対するtosufloxacin単回投与療法の検討
清田 浩町田 豊平増田 富士男大石 幸彦小野寺 昭一鈴木 博雄後藤 博一川原 元五十嵐 宏遠藤 勝久細部 高英岡崎 武二郎吉田 正林岸本 幸一東 陽一郎望月 篤飯塚 典男
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1992 年 66 巻 4 号 p. 529-535

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抄録

急性単純性膀胱炎に対するより効率的な治療法を確立する目的で, tosuHoxacin (TFLX) 300mg単回投与療法とTFLX300mg1日1回3日間継続投与療法の臨床効果を比較検討した.対象症例は50例の女子急性単純性膀胱炎症例で, これらをTFLX単回投与療法群 (25例) とTFLX3日間投与療法群 (25例) に分けた.TFLX投与前, 投与後1, 3, 7, 14, 28日目の自他覚症状, 膿尿, 細菌尿を検討項目とし, TFLXの尿からの分離菌株に対する最小発育阻止濃度を日本化学i療法の定めた標準法により測定した.TFLXの臨床効果はUTI薬効評価基準 (第3版) に基づき投与3日目で判定し, 再発 (再感染, 再燃) の有無は投与7, 14, 28日目に検討した.各群の臨床効果は, TFLX単回投与療法群では著効19例 (76%), 有効6例 (24%) で, 総合臨床効果は100%であった.一方, TFLX3日間投与療法群では著効21例 (84%), 有効3例 (12%), 無効1例 (4%) で, 総合臨床効果は96%と両群間に有意差を認めなかった.再発判定が可能であった症例は各群とも13例であったが, TFLX単回投与療法群では再発は認められず, TFLX3日間投与群で2例 (15.4%) に再感染を認めた.しかし, 再発率に関しては両群間に有意差を認めなかった.以上の結果より, 急性単純性膀胱炎に対しTFLX単回投与療法はTFLX3日間投与療法と同等の臨床効果と再発予防効果を認め, より効率的な治療法であると考えられた.

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