感染症学雑誌
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コレラ毒素遺伝子とその調節遺伝子による毒性Vibrio鑑別
小林 一寛田口 真澄勢戸 和子島田 俊雄
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1993 年 67 巻 11 号 p. 1045-1051

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抄録

コレラの激しい水様性下痢の原因はコレラ菌が産生するコレラエンテロトキシン (CT) である.私達はCT産生性を知るための特異的なPCR法について報告した.そのなかで数株のCT産生性V.mimicusを検出した.本論文では毒性V.cholerae (O1とnon-O1) と毒性V.mimicusを鑑別するため, 2組のプライマーを混合して使用するPCR法についてのべる.プライマーの一つは毒素遺伝子用 (ctx) で, 他はctxを制御しているtoxR遺伝子用である.
すべてのCT産生V.cholerae (O1とnon-O1) はtoxRを保有していたが, ctx陽性, toxR陰性の菌株はなかった.一方, V.mimicusは, V.choleraeに類似した性状をもつ1株以外, toxRをもつものはなかった.
これらの結果はV.choleraeのCT産生はtoxRによっているが, V.mimicusのctxはV.choleraetoxRとは別の遺伝子に制御されていることを示している.

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