1993 年 67 巻 4 号 p. 289-294
腸管集合性大腸菌の検出をブラジルおよびミャンマーの小児下痢症患者と健康小児を対象に試みるとともに, 大阪府下で下痢症患者から分離した大腸菌の保存株についても実施した。腸管集合性大腸菌の同定は, HeLa細胞における集合性の付着形態を観察することによった.その結果, ブラジルの下痢症患者の7.9%, 健康者5.6%, ミャンマーの下痢症患者の5.4%, 健康者3.4%から腸管集合性大腸菌を検出した。また, 大阪府下で分離した保存菌株から腸管集合性大腸菌6株を検出した。
分離した腸管集合性大腸菌38株について, 腸管集合性大腸菌 (EAggEC) の集合性に関与するプラスミッド由来の特異プローブを用いてハイブリダイゼーション試験を行った結果, 34株が陽性を示した。EAgg ECプローブと反応しなかった菌株が4株存在したことは, これらの菌株のHeLa細胞への集合性付着には前記のプラスミッドとは別の因子が関与していることを示唆している。
腸管集合性大腸菌の血清型については, 検出された38株のうち17株 (44.7%) が0型別可能であり, そのなかで8株 (21.1%) が腸管病原性大腸菌の0血清群に属するO44, O86, O111, O125, O126であった。一方, H型別については, ほとんどの菌株が型別可能であった。