感染症学雑誌
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エチルコハク酸エリスロマイシン, ステアリン酸エリスロマイシンの年齢別百日咳菌除菌効果
川合 宏和後藤 亮岩井 英人村瀬 雄二青山 辰夫
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1994 年 68 巻 11 号 p. 1324-1329

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抄録

百日咳菌除菌効果の検討はエリスロマイシンエストレートでは数多くなされているが, 我が国および米国で頻用されているエチルコハク酸エリスロマイシン (ドライシロップ, 顆粒) 及びステアリン酸エリスロマイシン (錠剤) においては十分とはいえない. そこでエリスロマイシン (エチルコハク酸エリスロマイシン及びステアリン酸エリスロマイシン) の年齢別百日咳菌除菌効果を比較し, 適切なエリスロマイシンの投与法について検討を行った. 対象は, 百日咳菌培養陽性例77例中エリスロマイシンを投与した66例とした. エリスロマイシンは, 40-50mg/kg/日 (最大1.2g/日) 経口投与した. 0-2歳児では39%(15例/38例) が1週以内に, 71%(27例/38例) は2週以内に菌陰性化した. 3-15歳児では78%(7例/9例) が1週以内に, 全例2週以内に菌陰性化した. 成人は12例全例1週以内に菌陰性化した. エリスロマイシンの百日咳菌除菌効果について0-2歳児は, 年長児, 成人に比べ有意に劣っていた. そのため0-2歳時は3週, 3歳以上の児は2週, 成人は1週間エリスロマイシン投与が必要と考えられた.

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