感染症学雑誌
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68 巻, 11 号
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  • 廣田 良夫, 加地 正郎
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1293-1305
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    欧米ではハイリスク者 (老齢者を含む) に対するインフルエンザ予防接種を積極的に推進する方向にあるが, 我が国では予防接種への対応は消極的であり, 効果そのものを否定する見解もある. そこで, ワクチン有効性の評価を中心に疫学研究手法を考察した.
    1. インフルエンザ流行は時間と場所によって異なるので, 地域が異なる多施設の調査結果をプールして解析する時には注意を要する.
    2. 対象集団中で観察した急性呼吸器疾患の集団発生が, インフルエンザウイルスによるものかどうかを, まず議論せねぼならない.
    3. 接種・非接種の群間で差を検出できない最大の理由に, 非インフルエンザによる結果の希釈があげられる. 罹患調査に当たっては, (1) 観察期間を最流行期間に限定する, (2) strictcriteriaを適用する, (3) 流行規模が比較的大きなシーズンに実施する, の3項目が重要である.
    4. 自然感染により既に十分な抗体価を有する者の影響を考慮するためには, antibody efficacyを求める方法がある.
    今後は, インフルエンザと関連する個人の特性を明らかにして, バイアスや交絡などについても検討を深める必要がある.
  • 尿中抗菌薬濃度自動シミュレーターを用いたin vitroにおける検討
    佐野 正人, 熊本 悦明, 西村 昌宏, 広瀬 崇興, 塚本 泰司, 大屋 哲
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1306-1317
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Clarithromycin (CAM) の抗Biofilo作用の機序として, Biofiloの主成分であるGlycocalyxの産生抑制作用もしくは溶解作用が考えられるが, その詳細は明らかではない.
    そこで今回, 我々は既に報告している尿中抗菌薬濃度自動シミュレーター付き高度複雑性膀胱感染実験モデルを用いて, CAMのBiofilm形成抑制効果について実験的に検討を行い, 以下の成績を得た.
    1) P. aernginosaに抗菌力を有するciprofloxacin (CPFX, MIC: 8μg/m1) をBiofilmを形成させていない状態から単独作用させた. この場合, モデル膀胱内の細菌は一見除菌されたが, 抗菌薬の影響を除くと再増殖を開始した. またBiofilmの形成が経時的に認められ, これが再増殖の原因と考えられた.
    2) P. aeruginosaに抗菌力は有さない (MIC: 128μg/ml以上) が, 抗Biofilm作用を有するCAMを, Biofiloを形成させていない状態から, 単独作用させた場合は, 細菌濃度は48時間以内に初期濃度に達した. しかし, モデル膀胱憩室内のガラス玉表面には, 多数の細菌が付着していたが, Biofiloは形成されていなかった.
    3) CPFXとCAMの併用作用では, モデル膀胱内の細菌は除菌され, 抗菌薬の影響を除いても再増殖を認めなかった. また, Biofiloは形成されておらず, 細菌の付着も認めなかった.
    4) 抗菌薬作用時に緑膿菌Blofiloの主成分であるアルギン酸量を経時的に測定すると, CAM単独作用の場合は, アルギン酸量は5, 7日目では測定限度以下となった.
    5) 以上の結果より・CAMの抗Biofilm作用機序として, Glycocalyxの産生抑制作用の可能性が考えられた.
  • Shiba Kumar RAI, 柴田 宏, 久保田 浩司, 住 勝実, 松岡 瑛, 宇賀 昭二, 松村 武男, Hari Govinda ...
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1318-1323
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    実験的にトキソプラズマ (S-273株) を感染させたマウスの免疫グロブリンMおよびGの変動と, 種々の感染経過日 (2-36日) におけるトキソプラズマ (RH株) タキゾイド抗原に対する反応を酵素免疫抗体 (ELISA) 法試薬とウエスタンブロット法により測定した. ELISA法による抗トキソプラズマIgM抗体は感染12日後から出現 (0.764吸光度: ABS) し, 16日後に最高 (ABS=1.338) となった後徐々に減少し続け36日後には吸光度0.800となった. 抗トキソプラズマIgM抗体の出現は, 感染36日後以外の日でWB法で確認できた. 抗トキソプラズマIgG抗体は, 感染16日後に吸光度0.248として出現し感染36日後 (ABS=1.747) まで着実に増加した. しかしながら, WB法における抗トキソプラズマIgG抗体は感染29日後とそれ以降にのみ観察された. WB法における抗トキソプラズマIgMとIgG抗体は種々感染経過日において興味ある抗原認識パターンが見られた. すなわち, 抗トキソプラズマIgM抗体は少なくとも14kDaから53kDaの間に7本の抗原バンドを認めるが, IgG抗体では17kDaから53kDaの間に8本の抗原バンドを認めた. 主要な抗原バンドはIgM抗体では53kDaと21kDaであったのに対してIgG抗体では19kDaであった. しかし, 主要バンドにおいても種々感染経過日を通じて染着濃度に変化が見られた. この様に抗トキソプラズマIgM抗体とIgG抗体によって検出された全ての抗原は同一ではなかった.
  • 川合 宏和, 後藤 亮, 岩井 英人, 村瀬 雄二, 青山 辰夫
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1324-1329
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    百日咳菌除菌効果の検討はエリスロマイシンエストレートでは数多くなされているが, 我が国および米国で頻用されているエチルコハク酸エリスロマイシン (ドライシロップ, 顆粒) 及びステアリン酸エリスロマイシン (錠剤) においては十分とはいえない. そこでエリスロマイシン (エチルコハク酸エリスロマイシン及びステアリン酸エリスロマイシン) の年齢別百日咳菌除菌効果を比較し, 適切なエリスロマイシンの投与法について検討を行った. 対象は, 百日咳菌培養陽性例77例中エリスロマイシンを投与した66例とした. エリスロマイシンは, 40-50mg/kg/日 (最大1.2g/日) 経口投与した. 0-2歳児では39%(15例/38例) が1週以内に, 71%(27例/38例) は2週以内に菌陰性化した. 3-15歳児では78%(7例/9例) が1週以内に, 全例2週以内に菌陰性化した. 成人は12例全例1週以内に菌陰性化した. エリスロマイシンの百日咳菌除菌効果について0-2歳児は, 年長児, 成人に比べ有意に劣っていた. そのため0-2歳時は3週, 3歳以上の児は2週, 成人は1週間エリスロマイシン投与が必要と考えられた.
  • 尹 躍平
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1330-1337
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    らい菌 (タイ53株) よりDNAを抽出し, λgt11をベクターとして, らい菌遺伝子ライブラリーを構築した. すでにクローニグし, 解析されているらい菌のα抗原遺伝子をプローブとしてこの遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることにより, α抗原遺伝子に類似した遺伝子のクローニングに成功し, α2抗原遺伝子と命名した. α2抗原遺伝子の全塩基配列を決定し, 予想されるアミノ酸配列を他の抗酸菌の相同遺伝子のそれと比較した. その結果α2抗原は結核菌やBCG等の85Aに相当することが示唆された. 一方α抗原は, 85Bと高い相同性を示した.
    次にα抗原, α2抗原の成熟蛋白質の全領域を大腸菌の外来遺伝子高発現ベクターpMALc-RIに組み込み大量発現の系を構築した. 大腸菌の200ml培養液からのリコンビナント蛋白質の収量は, α抗原, α2抗原それぞれ6mgおよび10mgであった. また純度はどちらも95%以上であった.
    さらに, 得られたリコンビナントα抗原およびα2抗原に対してらい患者の血清が反応するかどうかについてELISA法を用いて検討した. その結果, α抗原, α2抗原どちらに対してもらい患者の血清が反応することが確認できた. とくにα2抗原に対して強く反応した. リコンビナントα抗原, α2抗原ともにらいの血清診断用の特異的抗原として使用できる可能性が強く示唆された.
  • 吉田 繁, 井上 真美子, 清水 義徳, 秋沢 宏次, 上原 信之, 高橋 俊司, 藤田 晃三, 斉藤 芳彦, 高橋 長一郎, 岩田 敏, ...
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1338-1351
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    我が国において, 臨床検査材料材料から分離される肺炎球菌の中に占めるペニシリン耐性菌の割合を検討するために, 1993年から1994年にかけて, 全国各地の36施設から1,127株の肺炎球菌が収集された.
    これらの菌株の多くは喀疾 (38.2%), 咽頭 (31.4%), 鼻汁 (16.4%), および耳漏 (5.7%) から分離されたが, その他にわずかではあるが, 血液 (19株;1.8%), 髄液 (11株;1.0%) および胸水 (2株; 0.2%) 由来が含まれていた. 肺炎球菌が分離された患者は, 12歳以下の小児と60歳以上の成人が大半を占めていた.
    これらの菌株は, penicillin G, ampicillin, oxacillin, ceftizoxime, cefixime, cefdinir, imipenem, panipenem, erythromycin, clindamycin, minocycline, vancomycin に対する感受性を測定した. 感受性の測定は, Mueller Hinton 寒天培地に10%の割合に綿羊脱線維血液を加え, 寒天平板希釈法によつて行った. penicillinGに対して0.125μg/ml以上のMICを示す菌株をペニシリン耐性とみなしたが, 1,127株のうち471株 (41.8%) がペニシリン耐性であった. ペニシリン耐性の肺炎球菌は, ampicillin, oxacillin, ceftizoxime, cefixime, cefdinir を含むβ-ラクタム系薬にも耐性であった. カルバペネム系薬のpanlpenemやimipenemのMICは, 2峰性の分布を示すものの0.004から2.0μg/mlの範囲であったが, これらの薬剤はペニシリン耐性肺炎球菌の発育をほぼ0.5μg/ml以下で阻止した. 耐性菌の認められなかったのは, vancomycinのみであった. ペニシリン耐性肺炎球菌の大多数は, マクロライド系薬剤やminocyclineにも同時に耐性であった.
    また, ペニシリン耐性肺炎球菌の分離率は東日本地域で低く, 西日本地域で高い傾向が認められた.
  • 本田 れい子, 谷口 初美
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1352-1358
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    我々は1991年9月に熊本市で発生した集団事例から分離したSalmonella choleraesuis subsp. choleraesuis serovar Enteritidis (S. Enteritidis) が保有するplasmid上にテトラサイクリン (TC) 耐性遺伝子が存在することを見いだした. このplasmidは約9kbで, 脱落しやすく, 大腸菌においても形質発現することが出来た. そこで, 我々はこのTC耐性plasmidの熊本市における侵淫状況及び熊本以外での流行を知るために, 熊本市で分離された37件の散発性下痢症患者由来37株, 北九州, 千葉, 福岡で発生した3件の食中毒由来3株及び熊本市で分離された液卵由来1株の計41株について, このplasmidをprobeとしたhybridization, 薬剤感受性及びplasmidprofileを調べた. その結果, 散発事例由来の37株中28株, 北九州, 千葉で発生した食中毒由来株及び液卵から検出された株がこのTC耐性plasmidを保有していた. このことから, 調査した1992年7-9月には, このTC耐性plasmidを保有する株が熊本市におけるS. Enteritidisの流行の主流を占めていたことがわかった. また, このplasmidを保有する株が北九州, 千葉で発生した食中毒事例からも検出されたことにより, この株の流行が地域的なものでないことを, また液卵からの検出が鶏卵との関与を示唆した.
  • 渡辺 彰, 庄司 聡, 貫和 敏博, 西野 武志, 角田 行, 庄司 真, 星 安治郎, 佐藤 茂, 長島 道夫, 青沼 清一, 松田 恵三 ...
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1359-1366
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1992年10-11月 (前期) と1993年1-2月 (後期) に6開業医を受診した呼吸器感染症479例の咽頭拭い液 (上気道感染例) と喀痰 (下気道・肺実質感染例) から細菌・マイコプラズマ・ウイルスの同時分離を行った. 検体はシードスワブ1号, PPLO培地, 0.5%ゲラチン加MEMに採取・輸送後・集中測定した. 延べ診断名は急性上気道炎234, 急性気管支炎145, インフルエンザ96, 急性扁桃炎21, 急性肺炎5, 他9である. 前期236例からは一般細菌100株, Mycoplasma pneumoniae 1株が分離され, 感冒流行期の後期243例からは一般細菌66株, M. pneumoniae 1株, Influenzavirus 73株 (A香港型43株. B型30株) が分離された. 細菌はStaphylococcus aureus 56株, Streptococcus pneumoniae 12株, Streptococcus pyogenes 15株, Haemophilus influenzae 17株, Escherichia coli 4株, Klebsiella属35株, Pseudomonas aeruginosa 4株, Acinetobacter属23株が分離された. MRSAは1株 (DMPPCのMIC=50μg/ml) のみ分離され, ペニシリン耐性 (ABPCのMIC>1μg/ml) 肺炎球菌は分離されなかった. 一次医療での呼吸器起炎微生物の分布は三次医療外来での分布に近似するが, 薬剤耐性化は少なかった. 333例にciprofloxacin (113例) とroxythromycin (220例) が投与されて有効率はCPFX91.2%, RXM85.0%であったが, RXMの有効率はウイルス分離例でも低下しなかった.
  • 青木 ますみ
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1367-1375
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    高齢者の易感染性, 感染難治化の原因を調べる目的で, 70歳以上の入院患者を対象として, その好中球の活性酸素産生能を非オプソニン化zymosanや各種病原菌を刺激としたルミノール依存性chemiluminescence (CL) 法とルミスフェア誘導CL法を用いて測定し, 健常若年成人と比較した. 感染症のない高齢者ではzymosan刺激による全血CL, 好中球CLは有意に低下しており, 各種生菌刺激でも低下の傾向が認められた. ルミスフェア粒子を用いた好中球内のCL反応においても80歳以上で有意に低下していた. 感染を合併すると, 一般にCL値は高値となり感染の治癒期に低下し, 感染防御として合目的的であった. 感染合併時にCL反応が亢進しない群は, 末梢血白血球数, 好中球数が少ない, あるいは血清総蛋白, アルブミン, 総コレステロール, コリンエステラーゼの低い例があり, 低栄養と好中球の活性酸素放出能との関連も考えられた. さらに, エンドトキシン (LPS) や腫瘍壊死因子 (TNF-α) による全血CLのpriming効果についても, 健常成人ではLPSやTNF-αの前処理によりCL反応が増強したが, 高齢者では増強の程度は弱かった.
    以上より, 好中球の活性酸素産生能の低下と, 感染巣において好中球を活性化し, 侵入菌に対する生体防御能を高める働きをするLPSやTNF-αに対する好中球の応答性の低下が, 高齢者の易感染性, 感染症の難治化の一因となっている可能性が示唆された.
  • 米田 尚生, 出口 隆, 安田 満, 多田 晃司, 岩田 英樹, 石原 哲, 坂 義人, 河田 幸道, 江崎 孝行, 斉藤 功
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1376-1380
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Mycoplasma genitaliumは非淋菌性尿道炎患者から分離されるが, 分離培養が困難なため, ヒトの尿道炎の起炎菌であるか, 否かの検討は進んでいない. われわれはpolymerase chain reaction (PCR) 法を用いて, 非淋菌性尿炎患者におけるM. genitaliumの役割を検討した. PCRによるM.genitalium 検出のためのプライマーとして, M.genitaliumの140-KDaadhesingeneの一部の塩基配列に相補的なoligonucleotideを用いた. 本PCM法はMycoplasma hominis, Mycoplasma pneumoniaeを含め, 他の菌種ではDNAの増幅を認めず. M.genitaliumに特異的であった. 非淋菌性尿道炎患者および健常男子の尿道擦過物から本PCR法にて, M.genitaliumDNAの検出を行った. 非淋菌性クラミジア性尿道炎患者33例中3例 (9.1%) および非淋菌性非クラミジア性尿道炎患者81例中14例 (17.3%) からM.genitaliumDNAが検出され, 非淋菌性尿道炎患者全体では114例中14.9%の検出率であったが, 健常男子29例からは1例も検出されなかった. M. genitaliumは非淋菌性クラミジア性尿道炎患者からの検出率が健常男子と比較して有意に高く, 非淋菌性尿道炎の起炎菌であると示唆された.
  • Chlamydia trachomatis感染との比較
    佐藤 隆志, 熊本 悦明, 広瀬 崇興
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1381-1389
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    実験的大腸菌性マウス子宮内感染モデルにおいて免疫関連細胞に対するモノクローナル抗体を用いて染色し, 感染局所における免疫関連細胞応答を検討した.
    1. 大腸菌の子宮感染率は1日目で4/4, 3日目で4/6, 7日目で2/6, 14日目, 21日目で1/6と時間の経過とともに減少し, 感染局所で免疫関連細胞による菌体のクリアランスが行われていると考えられた.
    2. マウス子宮感染組織では感染1日目から好中球, マクロファージ, CD4陽性T細胞, CD8陽性T細胞, IgA陽性B細胞の子宮感染組織への中等度の浸潤が認められ, 感染3日目からIgM陽性B細胞, IgG陽性B細胞の軽度の浸潤が認められた. 好中球は感染14日目から減少したが, 他の免疫関連細胞の浸潤は感染21日目までほぼ同様に継続した.
    3. 大腸菌感染と細胞内寄生性微生物であるC.trachomatis感染に対する局所感染免疫応答を比較したところ, 大腸菌感染では免疫関連細胞の感染局所への浸潤がC.trachomatis感染よりも早期に認められたことと, C.trachomatis感染局所では大腸菌感染局所よりもマクロファージ, CD8陽性T細胞が感染局所に多く認められた.
    このことから, C.trachomatis感染局所ではマクロファージ, CD8陽性T細胞が感染防御として重要な役割を演じている可能性が示唆された.
  • 相楽 裕子, 冨澤 功, 滝澤 慶彦, 新田 義朗, 角田 隆文, 山口 剛, 増田 剛太, 根岸 昌功, 味澤 篤, 村田 三紗子, 大西 ...
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1390-1408
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    fleroxacin (FLRX) の細菌性赤痢, サルモネラ腸炎を主とする感染性腸炎患者および保菌者143例に対する臨床的検討を行い, 併せて臨床分離株に対する抗菌力, 糞便中への移行および腸内細菌叢に対する影響を検討した. 投与方法は, 1日1回200mg (200mg群) あるいは300mg (300mg群) を, コレラには3日間, サルモネラ腸炎には7日間, その他の腸炎には5日間経口投与とした.
    臨床効果は, 200mg群, 300mg群とも有効率100%であった.
    細菌学的効果は, 200mg群の赤痢菌, サルモネラ, 大腸菌, 腸炎ビブリオ, コレラ菌では有効率100%, カンピロバクターでは63.6%であり, 300mg群の赤痢菌では有効率93.3%, カンピロバクター大腸菌では100%であった.
    副作用は200mg群, 300mg群で各1例 (1.1%, 2.1%) に皮疹がみられた. 臨床検査値異常は200mg群で好酸球の増加, GOT・GPTの上昇の2例 (2.8%), 300mg群でGPTの上昇の1例 (2.9%) であった.
    有用性満足率 (満足以上) は, 200mg群, 300mg群それぞれ92.9%, 93.3%であった.
    抗菌力は, 赤痢菌, サルモネラ, 大腸菌に対し, MIC90値でそれぞれ0.1, 0.2, 0.1μg/mlであった.
    糞便中の薬剤ピーク濃度は, 200mg群2例では49.0μg/g, 274.4μg/gであり, 300mg群2例では43.3μg/g, 検出限界 (5.0μg/g) 以下であった.
    腸内細菌叢 (4例) は, 1例を除き, 投与中にEnterobacteriaceaeの減少が認められたが, 投与終了後には回復傾向を示した. 嫌気性菌群に対する影響は認められなかった.
  • 今川 八束, 福山 正文, 川上 久美子, 須田 織江
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1409-1416
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系合成抗菌剤fleroxacin (FLRX) の臨床試験における感染性腸炎患者から分離送付された新鮮分離株赤痢菌36株 (再排菌1株を含む), サルモネラ14株, 病原大腸菌11株, 腸炎ビブリオ7株, ビブリオ・コレレ012株, カンピロバクター14 (持続排菌1株を含む), エロモナス3株, プレジオモナス・シゲロイデス1株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, ciprofloxacin (CPFX), norHoxacin (NFLX), nalidixicacid (NA) のMIC値と比較した.
    FLRXのMIC90は, 赤痢菌と病原大腸菌に対し0.1μg/ml, サルモネラと腸炎ビブリオに対し0.2μg/ml, カンピロバクターに対し12.5μg/mlであった. 腸炎ビブリオに対しては0.2μg/mlでCPFXやNFLXと同等であった. 他の菌種では, CPFXの2~4倍, NFLXとは同等もしくは1/2~1/4低い値を示したのに対し, NAのMIC90に比べると1/16~1/32の低い値を示した. しかし, NAのMICが100μg/mlを上回った病原大腸菌の1株に対しては, FLRXは0.78μg/mlと他の感受性株より8倍高い値を示した.
    保存株 (平成元年8月から平成3年2月までの臨床分離株) 赤痢菌11株, サルモネラ10株, 病原大腸菌8株, ビブリオ・コレレO1 10株, 腸炎ビブリオ10株, カンピロバクター14株を加え, NAのMICと比較したが, NAのMICが100μg/mlを上回った赤痢菌1株対してはFLRXは0.78μg/ml, NAのMICが100μg/ml以上のカンピロバクター5株に対しては12.5~25μg/mlを示した.
    このことから今回分離された病原大腸菌および保存赤痢菌各1株に対するFLRXのMIC 0.78μg/mlは絶対値として低いものの, 耐性株とみなすべきでないかと考えられた.
  • 武田 誠司, 多々良 一郎, 向野 賢治, 荒川 規矩男
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1417-1420
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    An 18-year-old female was given prednisolone and azathioprine for treatment of systemic lups erythematosus. She was admitted to Fukuoka University Hospital because of headache and vomiting. Examinations revealed she was suffering from cryptococcal meningitis.
    Fluconazole (FLCZ) 400 mg a day was administrated for therapy. Her general condition improved and the serum level of cryptococcal antigen decreased one month after therapy. This therapy resulted in abatement of subjected symptoms and sterilization of the cerebral spinal fluid. This case suggested that therapy with FLCZ alone is useful for patients with cryptococcal meningitis, therefore the standard therapy with amphotericin B (AMPH) or the combination.
  • 豊田 英嗣, 三竹 啓敏, 三神 美和, 志知 泉, 森田 純仁, 森下 鉄夫, 笠原 正男, 小林 芳夫
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1421-1427
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    This paper reports a case of TSS complicated with SSSS in an adult with liver cirrhosis.
    A 52-year-old male, heavy drinker, was referred to our clinic complaining lumbago and painful swelling of the right arm. The patient had peeling of the skin over the hips, knees and elbows with positive Nikolsky's sign. The patient was in a state of shock on admission. Pyrexia persisted for 4 days and finally the body temperature rose up to 39 °C. The laboratory studies revealed hypoxia, DIC and multiple organ failure, and these became progressively worse. He died 4 days after admission.
    According to the criteria, he was diagnosed as TSS, and TSST-1 was detected from his serum. Staphylococcus aureus, coagulase type V was cultured both from the blood and from the wound of his right middle finger. This isolated strain did not produce TSST-1. The skin specimen at autopsy showed that the cleavage plane lied at the subcorneal region and close to the granular layer, with specific changes caused by exfoliative toxin. It was compatible to the exfoliation which was caused by exfoliative toxin produced from the S. aureus coagulase type V. The autopsy also revealed alcohol liver injury, liver cirrhosis and multiple organ failure due to shock state.
    SSSS is rare in adults, to our knowledge this is the first reported case of TTS complicated with SSSS.
  • 中田 博一, 前本 達男, 北沢 克彦, 本多 昭仁, 清水 可方, 大江 健二
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1428-1432
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    A case of fulminant group A streptococcal infection occurring in a 6-year-old Japanese child is reported. She was accompanied by massive pulmonary hemorrhage and subsequent asphyxia. She initially had pharyngalgia with fever. The cephalosporin antibiotic was given orally for 3 days. Three days after that recurrence of fever and pharyngalgia was noted. Twelve hours later tachypnea and a sudden onset of hemoptysis was noted. She manifested DOA (dead on arrival) and died in the emergency room. Autopsy revealed the presence of numerous cocci in the vessels and massive pulmonary hemorrhage.
    Streptococcus Pyogenes was isolated from the blood. The serotype of this group A streptococcal organism was typed as M4, T4, which produces exotoxin type B and C, which was sensitive to the penicillins.
  • 中川 義久, 古家 英寿, 佐藤 宏, 松本 芳彬
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1433-1436
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    A 64-year-old male was admitted to our division because of fever.
    After admission, the patient was given β-lactam antibiotics intravenously because he had no eruption and eschar. However, the fever continued, and he became unconsciousness and DIC appeared. We diagnosed the patient as Tsutsugamushi disease from indirect fluorescent antibody technique. Minocycline was excellently effective.
    Several reports of Tsutsugamushi disease without eruption have been given, so we must always be careful of Tsutsugamushi disease
  • 中澤 宗生, 甲斐 明美
    1994 年 68 巻 11 号 p. 1437-1439
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 68 巻 11 号 p. 1440a
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 68 巻 11 号 p. 1440b
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/09/07
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