感染症学雑誌
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一次医療における呼吸器感染症の研究 (V) 開業医受診の呼吸器感染症例から分離される細菌, マイコプラズマ, ウイルスの分布とマクロライド剤, ニューキノロン剤の臨床効果
渡辺 彰庄司 聡貫和 敏博西野 武志角田 行庄司 真星 安治郎佐藤 茂長島 道夫青沼 清一松田 恵三郎本宮 雅吉
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1994 年 68 巻 11 号 p. 1359-1366

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抄録

1992年10-11月 (前期) と1993年1-2月 (後期) に6開業医を受診した呼吸器感染症479例の咽頭拭い液 (上気道感染例) と喀痰 (下気道・肺実質感染例) から細菌・マイコプラズマ・ウイルスの同時分離を行った. 検体はシードスワブ1号, PPLO培地, 0.5%ゲラチン加MEMに採取・輸送後・集中測定した. 延べ診断名は急性上気道炎234, 急性気管支炎145, インフルエンザ96, 急性扁桃炎21, 急性肺炎5, 他9である. 前期236例からは一般細菌100株, Mycoplasma pneumoniae 1株が分離され, 感冒流行期の後期243例からは一般細菌66株, M. pneumoniae 1株, Influenzavirus 73株 (A香港型43株. B型30株) が分離された. 細菌はStaphylococcus aureus 56株, Streptococcus pneumoniae 12株, Streptococcus pyogenes 15株, Haemophilus influenzae 17株, Escherichia coli 4株, Klebsiella属35株, Pseudomonas aeruginosa 4株, Acinetobacter属23株が分離された. MRSAは1株 (DMPPCのMIC=50μg/ml) のみ分離され, ペニシリン耐性 (ABPCのMIC>1μg/ml) 肺炎球菌は分離されなかった. 一次医療での呼吸器起炎微生物の分布は三次医療外来での分布に近似するが, 薬剤耐性化は少なかった. 333例にciprofloxacin (113例) とroxythromycin (220例) が投与されて有効率はCPFX91.2%, RXM85.0%であったが, RXMの有効率はウイルス分離例でも低下しなかった.

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