感染症学雑誌
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実験的大腸菌性マウス子宮内感染モデルにおける局所感染免疫応答の検討
Chlamydia trachomatis感染との比較
佐藤 隆志熊本 悦明広瀬 崇興
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1994 年 68 巻 11 号 p. 1381-1389

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抄録

実験的大腸菌性マウス子宮内感染モデルにおいて免疫関連細胞に対するモノクローナル抗体を用いて染色し, 感染局所における免疫関連細胞応答を検討した.
1. 大腸菌の子宮感染率は1日目で4/4, 3日目で4/6, 7日目で2/6, 14日目, 21日目で1/6と時間の経過とともに減少し, 感染局所で免疫関連細胞による菌体のクリアランスが行われていると考えられた.
2. マウス子宮感染組織では感染1日目から好中球, マクロファージ, CD4陽性T細胞, CD8陽性T細胞, IgA陽性B細胞の子宮感染組織への中等度の浸潤が認められ, 感染3日目からIgM陽性B細胞, IgG陽性B細胞の軽度の浸潤が認められた. 好中球は感染14日目から減少したが, 他の免疫関連細胞の浸潤は感染21日目までほぼ同様に継続した.
3. 大腸菌感染と細胞内寄生性微生物であるC.trachomatis感染に対する局所感染免疫応答を比較したところ, 大腸菌感染では免疫関連細胞の感染局所への浸潤がC.trachomatis感染よりも早期に認められたことと, C.trachomatis感染局所では大腸菌感染局所よりもマクロファージ, CD8陽性T細胞が感染局所に多く認められた.
このことから, C.trachomatis感染局所ではマクロファージ, CD8陽性T細胞が感染防御として重要な役割を演じている可能性が示唆された.

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