感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
血液疾患に併発した深在性真菌症に対するミコナゾール点滴静注液剤 (MJR-1761) の有効性・安全性の臨床的検討
川田 浩志米倉 修司増本 暁小川 吉明福田 竜基笹尾 保渡辺 茂樹有森 香藤原 光堀木 照美佐藤 浩司梅田 祥克大林 由明市川 幸延長尾 忠美
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 68 巻 6 号 p. 775-783

詳細
抄録

血液疾患に併発した深在性真菌症および深在性真菌症が強く疑われる症例22例を対象に, 新しく開発されたミコナゾール点滴静注液剤 (MJR-1761) を投与し, その有効性と安全性を検討した. 22例の内訳は, 真菌血症15例, 肺真菌症2例, 消化管真菌症5例で, 消化管真菌症の3例は真菌血症を, 1例は尿路真菌症を併発していた. 臨床的効果判定可能症例は21例であった. 安全性の評価は全例について行なった. 中等度改善以上の改善率は86%(18/21), 有用以上の有用率は81%(17/21) であった. また, 副作用および臨床検査値異常はそれぞれ4例に認められたが, その内容はいずれも既に報告されているものであり, 投与中止後改善をみた. 以上の成績より, 今回使用したミコナゾール点滴静注液剤は, 従来の製剤と同等の有効性を示すとともに, 用時希釈の必要がなく, より簡便かつ安全に使用できる抗真菌剤であると思われた. また, 製剤の規格が75ml中にミコナゾール200mgを含有し液量が少ないため輸液量が軽減され, 臨床上の使用により適していると考えられた.

著者関連情報
© 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top