1994 年 68 巻 6 号 p. 767-774
脳神経外科領域の術後重症感染症を対象として免疫グロブリン製剤と抗生物質との併用療法を実施し, 免疫グロブリン製剤, 抗生物質同時投与群 (Group A), 非同時投与群 (Group B) の2タイプの投与スケジュールによる効果の違いについて比較検討した.
検討項目は, 感染症の指標と考えられる体温, CRP, 白血球数とし, その減少度の経時的変化について観察した. その結果, Group Bに比較してGroup Aは, 体温, CRP, 白血球数が, 有意に (P<0.05) 早く減少した. 更に, Group Aにおける治療期間は, Group Bよりも短期間であった.
以上より, 重症感染症に対する免疫グロブリン製剤は, 抗生物質と同時に投与することによってより一層の効果が得られ, 早期治癒による予後の改善, 患者のQOL (Quality of Life) の改善, 更には医療費の節約につながると示唆された.