感染症学雑誌
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当院予防接種外来における曝露後狂犬病ワクチン接種者の検討
高山 直秀
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1995 年 69 巻 1 号 p. 73-78

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抄録

日本では昭和32年以降狂犬病の国内発生は1件もなく, 輸入例も昭和45年の1例のみであるが, 海外ではなお多くの地域で狂犬病の発生をみている. 海外で狂犬病危険動物に咬まれ, 曝露後免疫のため当院を受診した29名について検討した. 受傷地はタイ, 受傷部位は下肢, 加害動物はイヌが最も多かった. 受傷地で発病予防を受けた被害者群と受けなかった被害者群はほぼ同数であったが, アジア・アフリカ地域で被害を受けた人では約76%が狂犬病ワクチンないし狂犬病免疫グロブリンの注射を受けていた. 海外旅行者ないし出張者は増加しており, 今後外国で狂犬病危険動物に咬まれる被害者の増加, さらには輸入狂犬病の発生が予測されるので, 医療側の受け入れ体制を整備する必要があろう.

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