感染症学雑誌
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秋田県で散発下痢症から分離されたVero毒素産生性大腸菌の性状
八柳 潤齊藤 志保子森田 盛大
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1995 年 69 巻 11 号 p. 1286-1293

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抄録

1991年6月から1994年11月の間に, 秋田県で6例の散発的VTEC感染事例が確認された.これらの事例から分離されたVTECの血清型, VT型, eae遺伝子と60MDaプラスミドの保有状況, およびCVD419プローブ反応性について検討した.
分離株は, 5株が0157: H7であり, うち2株がVT-1とVT-2遺伝子を保有し, 残り3株はVT-1とVT-2vh遺伝子, VT-2遺伝子のみ, VT-2vh遺伝子のみを保有する株であった.1株はO26: NMでVT-1遺伝子保有株であった.
VTECのeae遺伝子を検出するためのプライマーとしてEA-1およびEA-2を設計した.このプライマーを使用したPCR法により, 6株のVTECの全てにeae遺伝子が検出されたが, このことは, eaeプローブを使用したドットプロットハイブリダイゼーションによっても確認された.6株のVTECは全て約60MDaのプラスミドを保有し, これらのプラスミドはサザンプロットハイブリダイゼーションによりCVD419プローブとハイブリダイズすることが示された.以上の結果は, eae遺伝子および60MDaプラスミドがVTECのヒトに対する病原性発現機構で何らかの役割を果たしているという考えを支持するものと考えられた.
6株のVTECのVT型とプラスミドプロファイルが異なることから, これらの株は異なる感染源に由来するものと推定されたが, 具体的な感染源は不明であった.

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