感染症学雑誌
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アレルギー性紫斑病とHuman parvovirus B19感染との関連についての研究
箕原 豊
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1995 年 69 巻 8 号 p. 928-933

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抄録

Human parvovirus B19 (B19) は, 伝染性紅斑の起因ウイルスとして知られる他, 様々な病態との関連が報告されている. このたび著者はアレルギー性紫斑病 (SHP) とB19の関連について後方視野的研究を行った.
対象は, SHPと診断された16例で男9例, 女7例, 平均年齢は6.0±1.7歳であった. 血清を使用しenzyme immunoassay法でB19特異的抗体及び, polymerase chain reaction (PCR) 法でB19DNAの検索を行った.
今回の検討では, PCR法でB19DNAが陽性は5例に, 急性期のB19 IgMは3例が陽性であった. 腎症状がみられたのは, B19感染のあった例では1例, なかったものは2例であった. 腹部症状は, B19感染では1例, なかったもの3例であった.
16例中5例のHSP患児にB19感染が考えられた. 今回の検討から, 伝染性紅斑様症状の出現がなくても, SHPの症例においてB19感染の検討が必要であると考えた.

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