1998 年 72 巻 7 号 p. 720-726
環境水 (河川水, 河口の水, 湾内の海水) 中からVibrio cholerae non-O1を分離し生存について検討した.V. choleraen on-O1の菌数は, 河川中流と河口の水を濾過膜で濃縮後に分離する方法 (MF法) により1.6-2,400CFU/100mlであった. 河口より河川中流の水中でV. cholerae non-O1の菌数は多かった. しかし, 河口の水中からMF法によるV. cholerae non-O1の分離率 (37.5%) は分離培地上に増殖する好塩性菌が多いために, 増菌培養後に分離する方法 (AP法) の分離率 (75.0%) より低かった.V. cholerae non-O1の菌数と水質試験の結果は相関関係がなかった. 分離されるV. cholerae non-O1の菌数は変動が大きく, 浮遊物に集団で付着して生存することが示唆された.海水の500mlからV. cholerae non-O1は分離されなかった.以上のことから, V. cholerae non-O1は海水より河川淡水中に多く生存することが結論された.