感染症学雑誌
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小児科入院患者から見たA香港型インフルエンザの流行と迅速診断
三田村 敬子菅谷 憲夫韮澤 真理高橋 浩治清水 英明平位 芳江
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1998 年 72 巻 9 号 p. 883-889

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抄録

1997-98年のシーズンは, A香港型インフルエンザの大規模な流行となった.流行の大きさを反映して, 1997年12月から1998年2月までの3ヵ月間の小児科入院患者の31.8%(76/239) が, A香港型インフルエンザが原因であった.流行のピークの2月上旬には, 小児科入院の60-70%以上がA香港型インフルエンザ患者で占められた.患者の平均年齢は3.7歳で, 6歳以下の乳幼児が78.9%を占めた.乳幼児に対するワクチン等のインフルエンザ対策が必要である.
流行中, enzyme immunoassayによるA型インフルエンザ迅速診断キット (Directigen Flu A, Becton Dickinson, USA) を用いて, 入院患者の咽頭拭い液あるいは鼻咽頭吸引液を検査したところ, ウイルス分離や血清HI試験と比較して, sensitivityは83.6-92.2%, specificityは82.8-100%であった.短時間 (10分) で結果が得られること, 特別な設備を要さないこと, 操作が容易であることなどから, 迅速診断キットは臨床では最適の診断法と考えられる.

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