感染症学雑誌
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Streptococcus agalactiaeのβ-ラクタム薬感受性に関する基礎的検討
池田 申之花木 秀明平松 啓一桑原 慶紀
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1999 年 73 巻 2 号 p. 163-171

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抄録

Streptococcus agalactiaeのcefaclorに対するpopulation解析により, MIC値以上の高濃度の薬剤存在下でも菌は生存していた.Macrobroth dilution法で24時間後に増殖が認められないpenicillin高濃度域 (8μg/ml~128μg/ml) でも, 菌数カウント直前のbrothにpenicillinaseを添加しpenicillinを分解すると, 濃度非依存的に102~103CFU/mlの細胞が存在し, toleranceを示していた.殺菌曲線でも, ATCC13813株と臨床分離株11株中10株が, penicillinに対して濃度依存性を示さなかった.
ATCC13813株に対するpH5.5でのmacrobroth dilution法で, penicillinの0.0l6~0.125μg/mlの低濃度では約102CFU/mlの生存菌数が認められるが, 濃度が上昇するにしたがいその数は増え, 1~8μg/mlの濃度では, 約104CFU/mlの生存菌数が確認され, paradoxical effectを示していた.殺菌曲線でもATCC13813株と臨床分離株11株中1株にparadoxical effectを認めた.
妊娠中に抗菌薬を投与しても分娩中には再度陽性になるのは, toleranceが原因になっている可能性が示唆された.

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