感染症学雑誌
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Mycobacteria Growth Indicator Tube (MGIT) を用いた自動抗酸菌検出装置の検出能力に関する検討
小林 寅〓戸田 陽代小山 悦子長谷川 美幸橋口 則重荒井 秀夫深見 トシヱ渡辺 彰
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1999 年 73 巻 2 号 p. 172-178

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抄録

全国の医療施設にて採取した喀痰試料882検体について自動抗酸菌検出system BACTEC MGIT960® (MGIT960) および従来法の小川培地 (小川法) による培養を行った.その結果MGIT960による陽性例は120検体 (13.6%), 小川法における陽性例は99検体 (11.2%) であった.そのうちMycobacteriumtuberclosisはMGIT960で88検体から, 小川法では71検体から検出された.全抗酸菌陽性例においてMGIT960のみに陽性となった例は28例で, M. tuberculosis18例, その他非結核性抗酸菌 (NTM) は10例であった.逆に小川法のみ陽性となった例はM. tuberculosis, NTM各1例で, また小川法が陽性でMGIT960がcontaminationによって検出できなかった例が5例あった.
これらの検体のうち抗酸染色による鏡検陽性例は73例で鏡検陰性809例中MGIT960が陽性となったのは65例, 小川法中陽性は50例であった。MGIT960でcontaminationを示した11例中9例は鏡検でガフキー (G) 号数0で, 残り2例はG1, G2各1例, いずれも目的菌量が少ないケースであった.抗酸菌の検出日数の比較ではM. tuberculosisの検出にMGIT960は平均14.1日に対し小川法は平均24.6日, またNTMに対しMGIT960は平均8.3日, 小川法は22.8日と, MGIT960はいずれの抗酸菌も短い日数で検出することが可能であった.
以上の結果から非放射性自動抗酸菌検出装置MGIT960は喀痰材料から抗酸菌を迅速かつ高感度に検出可能なことから臨床における有用性が示された.

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