感染症学雑誌
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当院で分離された Escherichia coliKlebsiella pneumoniaeの産生するExtended-Spectrum β-Lactamase (ESBL) に関する基礎的研究-第2報
川上 小夜子斧 康雄山本 美和松村 充岡本 了一井上 松久宮澤 幸久
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2000 年 74 巻 1 号 p. 24-29

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抄録

Cefotaxime (CTX) に高度耐性を示すEscherichia coli11株, Klebsiella pneumoniae22株の合計33株について, 産生されるβ-lactamaseに関する基礎的検討を実施した. CTX高度耐性のプラスミドは, E.coliで9/11株 (81.8%), K. pneumoniaeで21/22株 (95.5%) の合計30株において受容菌に伝達された. 接合伝達株の基質特異性は, benzylpenicillin (PCG) に対する相対加水分解率がCTX: 38~95%, ceftazidime (CAZ): 0~8.6%, aztreonam (AZT): 0~56%とCTXが最も高かった. P/Cアーゼテストでは全株PCG分解菌と判明した. E.coli M1のプラスミド上に存在するCTX耐性遺伝子873bpのオープンリーディングフレームを含む領域をクローニングし, DNA塩基配列を解析した. その結果, アルゼンチンで分離されたSalmonella typhimuriumより検出されたCTX-M2型のExtend-Spectrumβ-Lactamase (ESBL) 遺伝子とDNA相同性が100%一致し, 国内で報告されているToho-1型とも99.9%の相同性を有することが明らかとなった. それを基にプライマーを設計しPCR法により遺伝子の検索を実施したところ, 33株全てにおいて同一プライマーで増幅される遺伝子の存在が認められた.

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