2000 年 74 巻 5 号 p. 481-485
1998年6-7月のインフルエンザ非流行期に, 静岡県内の学校でB/Victoria/2/87系統に属するB型インフルエンザウイルスによる集団発生があり, その後の流行期においても同系統のB型ウイルスによる流行が主流を占めた. この流行要因として, 学童年齢において同系統のB型ウイルスに対する抗体保有率が極めて低かったことが考えられた.
また, 非流行期に分離されたヘラルドウイルスとそれに続く流行期に分離された流行ウイルスとの関係を調べた. 抗原解析では両者の抗原性がほとんど一致し, ヘラルド株が次シーズンの流行ウイルスの親株となったように推察された. しかし, 遺伝子解析の結果からヘラルド株は次シーズンの流行ウイルスの親株ではないことが明らかとなり, ヘラルドウイルスが必ずしも次シーズンの流行ウイルスの親ウイルスになり得ない場合もあることを示した.