抄録
我々の以前の看護大学や医科大学における院内感染防止対策の調査でウイルス抗体測定法の選択について混乱があると思われた. そのなかで選択頻度の多かったEIA法によるIgG抗体, HI法, CF法における測定感度の比較を行った. 対象は看護大学や短期大学の看護学生175名であった. 麻疹, 水痘, ムンプスのEIA法のIgG抗体による抗体陽性率はそれぞれ96.6%, 93.7%, 83.3%, 風疹のHI法による抗体陽性率は920%であった. EIA法のIgG抗体を基準にすると, HI法の測定感度は麻疹751%, 水痘102.4% (IAHA法), ムンプス69.2%で, CF法の感度はそれぞれ20.6%, 38.7%, 8.0%であった. 水痘ではIAHA法がEIA法より良好な感度であったが, EIA法のIgG抗体 (±) を陽性とすると逆にEIA法の方が良かった. CF法による風疹の感度はHI法を基準にして1α9%であった. 我々の以前の検討では風疹のHI法の感度はEIA法と同一であった. 以上より, 水痘のIAHA法, 風疹のHI法を除き, EIA法を選択すべきである. 米国では1995年に風疹抗体のEIA法におけるカットオフ値は下げられており, 我が国でも検討が必要である. また水痘抗体もEIA法でIgG抗体 (±) がIAHA法で陽性であったため, カットオフ値について検討が必要と思われた.