感染症学雑誌
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成人の伝染性紅斑の5例
高橋 達雄高山 雄次國崎 裕文草場 信秀角野 通弘吉田 博佐田 通夫
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2001 年 75 巻 6 号 p. 469-472

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抄録

伝染性紅斑は膠原病や他のウイルス感染症と類似の症状がみられることがあるため, 成人のパルボウイルスB19 (以下B19) 感染症の症状と検査所見を検討した. 症例は抗体検査によりB19感染症と診断された5例であり, 年齢は18歳から39歳 (平均29歳) で, 全例が女性であった. 5例全例に発熱, 関節痛, 四肢の浮腫がみられ, 4例に顔面や四肢に紅斑が認められた. 5例中2例は当院へ受診する前に伝染性紅斑と診断されていたが, 3例はそれぞれSLE, 成人スティル病や風疹が疑われ当院へ紹介された.
症例2の27歳女性は多発関節炎と顔面の蝶形紅斑を主訴に来院した. 抗核抗体は320倍と陽性を示し, リウマチ因子も陽性であった. AST51IU/L, ALT68IU/L, LDH568IU/Lと肝機能異常を認めた. 臨床症状は3週間にわたり持続したが, 肝機能障害は3週間で改善した. 抗核抗体は5カ月後に陰性化 (40倍以下) した. B19感染症は膠原病と類似の症状と血清学的反応を示すことを銘記すべきである.

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