感染症学雑誌
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血中 (1→3)-β-D-グルカン測定法の非特異反応検出に関する検討
吉田 耕一郎二木 芳人宮下 修行松島 敏春
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2002 年 76 巻 9 号 p. 754-763

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抄録

アルカリ処理-発色合成基質カイネティック法 (アルカリ処理-カイネティック法) と希釈加熱-発色合成基質エンドポイント法 (希釈加熱-エンドポイント法) による血中 (1→3)-β-D-グルカン (β-グルカン) 測定における非特異反応検出について検討した.対象は1999年1月から5月の期間に川崎医科大学附属病院で住グルカンを測定された患者142例の保存血漿142検体.プロテアーゼ阻害剤である安息香酸-4-アミジノフェニル塩酸塩 (APB) を用いてリムルス反応を抑制する系を作成し, 各々の測定法でAPBの有無別にβ-グルカン値を測定した.APB添加条件で算出された測定値はβ-グルカン以外の妨害因子による非特異反応の結果と判定できる.アルカリ処理-カイネティック法では142検体中135検体 (95.1%) に非特異反応を認めたが希釈加熱-エンドポイント法では非特異反応はまったく検出されなかった.アルカリ処理-カイネティック法は住グルカン測定法として広く臨床に普及し, 優れた感度から高い評価を受けている.しかし本法は希釈加熱-エンドポイント法に比して非特異反応を高頻度に検出することがわかった.今後はどのような検体で非特異反応が認められるのか, その原因物質についてさらに詳細な検討が必要である.一方, 希釈加熱-エンドポイント法では非特異反応は認められなかった.本法については臨床的有用性を評価していく必要がある.

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