感染症学雑誌
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化膿性髄膜炎患児の髄液中インターロイキン12の検討
高崎 二郎小林 真澄田村 正徳
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2005 年 79 巻 3 号 p. 176-180

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抄録

1997年から2003年に入院した児を対象として髄液中インターロイキン (IL)-12を測定した.入院時の髄液中IL-12は, 化膿性髄膜炎と診断された23例において, 髄膜炎の否定された16例に比して有意に高値であった.化膿性髄膜炎例のうち2例は死亡退院となり2例は重篤な後遺症を残したが, これら4例と後遺症を残さなかった19例の間には入院時の髄液中IL-12値に有意な差はなかった.化膿性髄膜炎例17例では経過を追ってIL-12を測定したが, 死亡例や後遺症を残した例ではIL-12の低下がやや緩徐であるかと思われた.IL-12はIFN-γ の産生を誘導することが知られるが, IFN-γ は好中球機能を刺激することが報告されており, 化膿性髄膜炎においてIL-12はくも膜下腔での細菌に対する免疫反応の一端を任っているものと思われた.

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