感染症学雑誌
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ヒトの下痢便から分離されたCampylobacter jejuniCampylobacter coliの抗菌薬感受性
高山 貞男佐竹 幸子石原 加奈子
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2005 年 79 巻 3 号 p. 169-175

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抄録

2001年1月から2003年12月までの3年間に, 下痢症患者の糞便3, 204検体よりCampylobacter 147株が分離された.Campylobacter陽性率は15歳以下, 16歳から30歳, 31歳以上で, それぞれ2.5% (29/1,155検体), 129% (83/641検体), 2.5% (35/1,408検体) となり, 16歳から30歳の年齢層が15歳以下 (p<0.001) および31歳以上 (p<0.001) の年齢層に比べ陽性率が有意に高かった.5月から8月に提出された16歳から30歳の男性の便からの陽性率が最も高かった (26%, 32/123検体).Erythromycin (EM), ciprofloxicin (CPFX), tetracycline (TC) の耐性のブレイクポイントをそれぞれ≧16μg/ml, ≧2μg/ml, ≧16μg/mlとすると, 耐性率はC. jejuniではそれぞれ0.0%, 22.0%, 42.8%となり, C. coliではそれぞれ62.5%, 62.5%, 87.5%であった.C. coliにおいて, 8株中3株がEM, CPFX, TCに耐性の多剤耐性株であった.EMのMICが≧512μg/mlの高度耐性を示した5株はディスク拡散法では全く阻止円を形成しなかったが, MICが8μg/ml以下のEM感受性株7株は24mmから36mmの阻止円を形成し, 寒天平板希釈法およびEtestと良い相関を示した.C. jejuniが分離された期間を前期 (2001年1月~2002年6月) と後期 (2002年7月~2003年12月) に分けて耐性率を比較すると, CPFXの耐性率が27.5%から15.5%に減少していたが, 有意差は認められなかった (p=0.133).

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