感染症学雑誌
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Metallo-β-lactamase産生株検出における市販の確認セットの比較
重高 正行村谷 哲郎小林 とも子大久保 孔平松本 哲朗
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2006 年 80 巻 4 号 p. 391-398

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抄録

九州地区31施設の臨床材料から分離されたmetallo-β-lactamase産生株41株およびmetallo-β-lactamase非産生株ceftazidime耐性8株を使用し, メタロβ ラクタマーゼSMA'栄研' (SMA, 栄研化学), シカベータテストI/MBL (CIC, 関東化学), およびドライプレート'栄研'DPD1 (DPD, 栄研化学) を用いてmetallo-β-lactamaseの検出率について比較検討した. Metallo-β-lactamase産生株の検出率は, SMA 97.5%, DPDおよびCICは100%といずれも優れた成績を示し, SMAにより検出できなかった1株も判定不能であり, 偽陰性は存在しなかった. Metallo-β-lactamase非産生ceftazidime (CAZ) 耐性株に対しては, SMAで37.5% (3/8) が, DPDで62.5% (5/8) が判定不能となったが, 偽陽性は認めなかった. CICでは全株陰性と判定された. いずれの検査法とも, 陰性, 陽性, 判定不能の定義を明確にしておけば, 判定不能株は存在するものの, 偽陰性, 偽陽性は存在せず, 非常に優れた方法であると考えられた. SMAは, ディスク拡散法という細菌検査室では慣れた手技を用いる方法であり, さらに安価であることを考慮するとルチンで実施可能な方法であると考えられる. また, CICは多少手技的に熟練を要すると考えられるが, わずか15分で判定が可能であり, 迅速検査として有用性は高いと考えられた. また, CAZ高度耐性株に対して, SMAやDPDでは判定不能となる場合にはCICは有用である.

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