感染症学雑誌
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散発下痢症患者由来のフルオロキノロン耐性大腸菌におけるgyrA遺伝子およびparC遺伝子の変異
石畝 史東方 美保山崎 貢松雪 星子森屋 一雄田中 大祐磯部 順子京田 芳人村岡 道夫
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2006 年 80 巻 5 号 p. 507-512

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抄録

1991年~2005年の福井県など4県における散発下痢症患者由来の大腸菌0153107株について, 市販の薬剤感受性ディスクを用いたKB (Kirby-Bauer) 法で12剤の薬剤感受性を調べた. 薬剤別耐性菌出現率はampicillinが72.9%, streptomycinが48.6%, tetracyclinおよびsulfisoxazoleが46.7%, nalidixic acid (NA) が29.9%およびciprofloxacin (CPFX) が24.3%などであった. 7~10剤に耐性を示す18株中16株など計26株が, NAおよびCPFXに耐性を示した. NAおよびCPFXに耐性を示した24株とNAに耐性を示した1株について, gyrAおよびparC遺伝子の解析を行った結果, 次の4typesに分けられた. type1 (1株) GyrA (S83L) ・ParC (S80I), type2 (12株) GyrA (S83L & D87N) ・ParC (S80I), type3 (8株) GyrA (S83L & D87N) ・ParC (S80I & E84G) または (S80R & E84V), type4 (4株) GyrA (S83L & D87N) ・ParC (S80I & A108T). アミノ酸変異とfluoroquinolone (FQ) 系薬剤の最小発育阻止濃度 (MIC) との関連をみると, CPFX, ofioxacinおよびnorfloxacinのMICはtype1では, それぞれ1μg/mL, 2μg/mLおよび8μg/mL, type2では8~32μg/mL, 8~32μg/mLおよび16~256μg/mL, type3, 4では32~256μg/mL, 32~128μg/mLおよび128~>512μg/mLであった. 患者由来のFQ系剤耐性大腸菌O153が多剤耐性傾向を示すとともに, gyrAおよびparCで各々1~2カ所の変異がみられた.

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© 日本感染症学会
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