肝臓
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症例報告
特徴ある組織像を呈したリセドロン酸ナトリウムによる薬物性肝障害の1例
綾田 穣石川 哲也奥村 明彦大橋 知彦松本 英司佐藤 顕堀田 直樹福沢 嘉孝各務 伸一
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2006 年 47 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

症例は53歳, 女性. 骨粗鬆症に対し, リセドロン酸ナトリウム (sodium risedronate hydrate : SRH) が投与され, その約6カ月後, 全身倦怠感が出現. 血液検査で肝胆道系酵素の著明な上昇を認めたため, 当科に入院となった. SRHによる薬物性肝障害を考え, DDW-J 2004ワークショップの薬物性肝障害診断基準案に基づいて診断を進めた結果, 病型は胆汁うっ滞型で, スコアは, (+6) : 「可能性が高い」と判定された. 肝生検では, 肝実質のび慢性のロゼット形成や胆汁栓, 軽度の門脈域の拡大などの所見が得られたため, 本剤による薬物性肝障害と診断した. 特徴的な組織像により肝生検が診断の一助となった, SRHによる薬物性肝障害の1例を経験したため, 文献的考察を加え報告する.

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© 2006 一般社団法人 日本肝臓学会
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