2007 年 48 巻 6 号 p. 290-295
症例は79歳の男性.2002年4月に検診の超音波診断(ultrasound:US)にて肝腫瘍を指摘された.腹部US上,腫瘍は肝S6にあり辺縁低エコー帯を伴う高-等エコーを呈した.レボビスト造影USでは,動脈相にて腫瘍を貫通するグリソン鞘と辺縁部が造影され,門脈相にて魚の目状のエコー像を呈した.後期相では辺縁部の造影効果の遷延を認めた.SPIO-MRIのT2強調像では同心円状の3層構造を認めた.術前確定診断に至らず,同年7月に肝S6亜区域切除術を施行した.腫瘍径は2.8×2.5cm,組織学的診断はCD34, Factor VIIIなどの免疫染色陽性であり,肝類上皮性血管内皮腫(Epithelioid hemangioendothelioma of the liver;EHE)と診断された.肝EHEは比較的稀であり画像診断的報告は少ない.我々は切除標本と画像検査所見を対比して文献的考察を加え報告する.