肝臓
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症例報告
同時性バルーン閉鎖下塞栓術(DBOE)を行った胃静脈瘤出血の1例
和栗 暢生池田 晴夫米山 靖横尾 健滝沢 一休相場 恒男古川 浩一五十嵐 健太郎月岡 恵
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2007 年 48 巻 6 号 p. 284-289

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抄録

バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)は胃静脈瘤治療の主翼として確立されてきた。今回我々はBRTOに流入路からの塞栓を組み合わせる同時性バルーン閉鎖下塞栓術(DBOE)を胃静脈瘤出血に対して行ったので報告する。症例は50代の男性で、背景はアルコール性肝硬変。貧血症状で前医を受診。胃静脈瘤破裂の診断で、輸血など保存的に治療された後、当科に転院した。流入路は左胃静脈主体で、胃腎短絡への流出がみられた。胃腎短絡側へは内頚静脈アプローチ、左胃静脈側へは経皮経肝的にアプローチし、両者をバルーン閉塞下に5% EOIで塞栓した。なお流入量制御のため左胃静脈には金属コイル塞栓を付加して、24時間法で治療し、術後合併症なく軽快退院した。本例のように左胃静脈を主たる流入路としたLg-cf型の胃静脈瘤、特に破裂例に対してはDBOEが合目的と判断して行い、結果も良好であった。

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© 2007 一般社団法人 日本肝臓学会
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