2008 年 49 巻 4 号 p. 159-165
症例は43歳男性.2004年7月C型慢性肝炎と診断され当院へ紹介となった.HCV serotype 1型,HCV RNA 140 KIU/ml,肝生検ではCH(A1/F2).ペグインターフェロンα-2b/リバビリン併用療法を開始したところ4週目にはHCV RNAが陰性化し,48週間の標準治療にてウイルス学的著効を得た.治療後の体重は治療前に比べて増加し肥満を呈していたが,治療前と治療終了後18カ月後に75 g経口糖負荷試験を施行したところ,ともに"境界型"(日本糖尿病学会基準)ではあるものの血漿グルコース値およびインスリン値の曲線下面積は治療後に著しい改善を認めた.本症例によりC型肝炎ウイルスそのものとインスリン抵抗性との関連が示唆された.