肝臓
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症例報告
17年の経過で興味有る画像変化を来たした肝硬化性血管腫の1例
妻木 菜摘和栗 暢生米山 靖濱 勇河久 順志横尾 健相場 恒男古川 浩一杉村 一仁五十嵐 健太郎月岡 恵横山 直行大谷 哲也斎藤 英樹塩谷 基高橋 直也樋口 健史前田 春男橋立 英樹渋谷 宏行
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2008 年 49 巻 6 号 p. 268-274

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抄録

肝硬化性血管腫は海綿状血管腫が退行性変化を起こし,壊死,線維化,硝子様硬化をきたしたもので,画像診断をしばしば困難にするものである.我々は17年の経過で画像上著明な変化をきたした肝血管腫の1例を経験したので報告する.症例は70歳代,女性.右季肋部痛を主訴に撮影したCTで肝腫瘤を指摘されて,当科に紹介受診した.腫瘍はMRI-T2強調軽度高信号,造影効果に乏しい非特異性腫瘤の所見であり,肝内胆管癌,転移性肝癌,硬化型肝細胞癌などの悪性腫瘍が疑われたため,肝部分切除を行った.病理診断は硝子様変性の強い肝硬化性血管腫であった.前医で同部に以前からT2強調著明高信号,遷延する強い造影効果を示す典型的海綿状血管腫が存在したことが明らかとなり,典型的な肝海綿状血管腫から硬化性血管腫に変性していく経過が画像で捉えられた大変貴重な症例と考えられた.

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© 2008 一般社団法人 日本肝臓学会
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